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内村航平君の金メダルに思うこと。

  • 2016/08/11

「われ人に勝つ道を知らず、我に勝つ道を知る」最強の剣術といわれた柳生新陰流の強さを現わす言葉だ。

一戦を交えるにあたり、他人との勝負を考えるよりも自分に勝つことを考える。それさえできれば結果として他人にも勝つとの意であろう。

今朝のリオ五輪。内村航平選手の個人総合優勝の劇的シーンを観てふと思った。最終種目を迎えてトップに選手に遅れること1点近く。多くの者が今度ばかりは内村君も勝てないのかと思っただろう。

最後の鉄棒。得点差など関係ない。ライバルの演技など関係はない。自分は自分の最高の演技をするのみという集中力。

結果としてついてくる逆転劇。まさに「我に勝って敵に勝つ」典型だ。

どうすればこのような境地にたどりつくのか。それは努力して得られるものなのか。

団体の優勝後、彼はこのように語っている。

「僕たちの頑張りという訳のわからないものが入っているので金メダルが重い」

努力の経過を「訳の分からないもの」という。訳の分からないと言いつつも、その重さは誰よりもわかっているのだ。

照れているのか、形のないものをあえてこう表現しているのか。

本当に興味深い若者だ。そしてすごい。

かつてある会でお目にかかり、会話を交わしたことがある。これほどの選手であるのに、会場の隅の方で白井君らと食事をほおばっていた。

どちらかというと寡黙な青年との印象を受けた。

今日は本当に感動した。単純にスポーツはいいものだと思う。

金メダルの感動をありがとう。