大学入試 国語・数学の記述式延期
- 2019/12/18
2020年度から大学入試センター試験に代わって始まる大学入学共通テストで導入予定だった国語と数学の記述式問題について、萩生田光一文部科学相は17日の閣議後の記者会見で導入を延期すると発表しました。安倍政権が推進する大学入試改革の象徴である英語民間試験に続く導入延期となります。
斎藤議員は、以前より英語民間試験導入とともに記述式の導入に対しても強い懸念を表明し、委員会や本会議などでも発言してきました。11月22日には本会議において、直接萩生田文部科学大臣に記述式試験の導入中止について質しています。以下に、そのやりとりを掲載させていただきます。
〇斎藤嘉隆君
国語、数学の記述式問題についても伺います。
一部の採点をアルバイトが当たることへの根強い懸念にどう応えますか。
次に、学力評価研究機構の数人が問題と正答例をテスト実施前に閲覧すると報じられていますが、これは事実ですか。漏えいしない保証はどう担保されていますか。
どこで採点をするのか、一堂に採点するのか、受験生が自己採点できるようにするための方策は何か、これらの課題についての対応策をお答えください。
私たち野党各会派は、十四日に共同で、記述式試験中止法案を提出しました。萩生田大臣、過ちては改むるにはばかることなかれです。高校生、受験生のためにも中止に向けた一刻も早い決断が必要です。記述式を中止するのか、しないのなら、その理由について見解を求めます。
〇国務大臣(萩生田光一君)
次に、記述式問題の採点についてのお尋ねでありますが、採点の質の確保に向け、今後、大学入試センターにおいて、学力試験、採点業務への適性及び面接の結果、過去の採点実績等も考慮して選抜された採点者への事前研修の実施、複数の視点で組織的、多層的に採点を行う体制の構築、高校の協力を得て、採点過程を検証し、一連のプロセスを改善するための準備事業の実施等に取り組むことにより、採点の質の維持向上に努めてまいります。
次に、記述式についてのお尋ねでありますが、記述式問題の採点事業者においては、大学入試センターが作成した採点基準を分かりやすく採点者に伝えるための採点マニュアルを作成し、おおむね二十日以内という短い期間で正確な採点作業を実施するため、大学入試センターが設置をする採点基準策定委員会に出席し、必要な準備を行うこととしており、その中で試験問題や正答の条件を知り得ることとなります。
ただし、大学入試センターと採点事業者の間で締結した業務請負契約書において、相手方から知り得た一切の情報を厳に秘密として保持し、第三者に漏えいしてはならないという守秘義務を課しています。
また、当該会議の出席者は大学入試センターから事前の承認を受けることなど限られた者とされており、出席する際は、大学入試センターが指定し環境を整備した場所において、私物の持込みや資料の持込みを禁止するなどが仕様書において定められています。
このような取組により、大学入試センターにおいて情報漏えいを防止するための方策を徹底していると考えております。
次に、記述式問題の採点の場所等についてのお尋ねでありますが、記述式問題の採点は、極めて機密性の高いセキュリティー環境が構築された専用の会場で行われるものと承知していますが、具体的な場所等の詳細は秘密事項であり、差し控えさせていただきます。
次に、自己採点についてのお尋ねでありますが、記述式問題については、自己採点と採点結果の不一致の課題があると認識しており、大学入試センターにおいては、正答の条件の意味や内容を分かりやすく整理して高等学校へ周知するとともに、その内容を生かして受験生が何らかの形で自己採点のシミュレートできるような仕組みを提供できないか、大学入試センターと協議をしてまいります。
また、実施中の大学入学共通テストの準備事業を通じた一連のプロセスの検証、改善を通じて、採点基準の在り方の改善等も図られ、自己採点をしやすくすることにつながると考えています。
さらに、改善した採点基準を利用した自己採点一致率の改善効果を実際に確認することを含め、大学入試センターと協議をしてまいります。
次に、記述式の導入についてのお尋ねでありますが、記述式問題の導入については、解答を選択肢の中から選ぶのではなく、文や文章を書いたり、式やグラフ等を描くことをすることを通じて、思考のプロセスがより自覚的なものとなることによって、より論理的な思考力、表現力を発揮することが期待できると考えております。
記述式問題導入については、平成二十九、三十年度に実施した試行調査の結果、採点の質や、自己採点と採点結果の不一致等の課題があると認識しており、記述式問題が円滑に実施されるよう、引き続き、問題や採点方法について、更にどのような改善が可能であるか、様々な方策について検討し、取り組んでまいります。
このやりとりをみても、はっきり中止を拒否しており、この時点で問題点は明白であるにもかかわらず、約一ヶ月後の導入延期は受験生のみならず多くの関係者への混乱を引き起こしています。文部科学省と文部科学大臣の責任は非常に大きいと言わざるを得ません。