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ODA調査の旅へ 第3章  スリランカ編

  • 2013/11/04

(前号より続く)
ミャンマーのヤンゴンからバンコク経由でスリランカ・コロンボ空港に着いたのは午後の9時。遅い到着にもかかわらず、現地大使館の粗大使はじめ関係の皆様にお出迎えいただいた。
この日の予定はさすがになく、市内のホテルに向かうだけ。警察官のオートバイの先導で45分ほどの移動。疲れていたので車内で眠ろうかと思ったが無理だった。僕らを乗せたバスはすごいスピードで走る走る。恐怖を感じるほどで眠るどころではない。
空港からコロンボ市内までの道は、ブータンやミャンマーの道路と違い、日本の風景にそっくりだ。片道2車線の道路沿いにさまざまな商店が並び、ネオンも光る。日本でいえば小都市の国道沿いといったところか。
日本企業の看板が目立つ。わが名古屋の老舗企業「ノリタケ」さんの看板も。聞けば、日本の陶磁器はとにかく人気だそうで、なかでもノリタケさんは早くから現地に進出し、知名度が高いそうだ。
ほどなくホテルに着いたが、実は僕にとってこの日が最後のホテル宿泊。日本での公務のため、翌日の夜には団を離れなければならない。真山議員、宇都議員と最後の晩餐ならぬ最後の酒宴。コロンボヒルトンのラウンジで乾杯。
この日は自衛隊の練習艦隊がコロンボ入りしたとのことで、ホテルは自衛官らしき若者が目立つ。かれらも上陸したときくらい艦のベッドでなく、ホテルのベッドで休みたいだろう。しばしのリラックスタイムに皆楽しそうだ。
翌朝は早めに起きて、海岸線を散歩。安定政権下で高度成長を維持している国だけあって、ビジネスマンが目立ち、道路もちょっとしたラッシュ。
ここで、若い現地人の男性に声をかけられる。近くに有名な寺院があってそこに象がいるので見に行かないかと誘われる。いかにも怪しそうな輩だ。近くにいた警察官にこのことを告げようとしたところ、顔色を変えて逃げていく。後で大使館の方に聞いたら、最近被害に合う日本人が多いそうで、寺院に連れていかれ高額な商品を買わされるパターンのようだ。
朝食を済ませた後、最初の目的地であるコロンボ港へ。物々しい警備で港の周りは高い塀で囲まれている。ある意味でスリランカ経済の中心であるコロンボ港。26年に及ぶ内戦でも被害にあうことがなかったそうだ。成長が見込まれるインド市場へのアクセスの優位性などからも大きな可能性を持った港と言える。日本はこれまで港の整備に800億円の円借款を供与してきた。ただ現在は、中国資本の進出がはげしく、さらに拡張工事がすすめられている。
コロンボ港に停泊中の海上自衛隊遠洋練習艦「かしま」を訪問。北川司令官から航海の意義などについて説明を受ける。5月から10月末まで、初級幹部180人を含む750人ほどが18カ国に寄港しながら研修を積む。長期航海によってシーマンシップを身につけ、外国訪問によって広い見聞をもつことが彼らの目的だ。
蛇足ながら、この日の夕刻に市内の広場で偶然、市民に向けて演奏する海上自衛隊音楽隊に出くわした。こうした活動を通じて友好を深めている。それにしても音楽隊の技量は高くすばらしい。聴き入ってしまった。
市内の移動中、所々で渋滞にはまる。すべてがそうではないが、学校の登下校時に渋滞が多いそうだ。子どもの送り迎えは親の義務とされているらしい。
その後、アムヌガマ国際資金協力担当上級大臣、グナワルダナ教育大臣と懇談。教育大臣が、大学まで無償の教育を行っていると胸を張っていたが内実はよくわからない。教員を含む公務員の給与水準も低く、アルバイトで給与を補てんすることが半ば前提となっているらしいことにも驚いた。
夜には市内の日本料理店で、JICA専門家や国際機関関係者との懇談会。スリランカで活動中の青年海外協力隊の隊員は現在39人。この日みえた5人のうちの3人が女性だ。教育、特別支援、上下水道事業などの指導で大きな力を発揮している。
残念ながら、ここでタイムアップ。懇談途中で一人、団を離れ帰路に着くこととなる。
さて、スリランカ。アジアと中東の中間にあるという地政学的な重要性は言うまでもないが、伝統的な親日国である点など、我が国にとって今後ますます重要度が増す国となるだろう。政府内に64の省があり、66人の大臣がいる。政治的な成熟にはまだまだ時間がかかりそうだが、治安は安定している。今後インド、中国などとの関係強化をすすめそうだが、日本もさまざまな支援活動を通じて友好的な関係を維持していく必要があるだろう。
約一週間、3カ国の調査。大変貴重な経験であった。この臨時国会ではODA特別委員に任命された。この調査での経験を委員会での論議に活かしていきたい。そして、数年後、私的に3国を訪問し、どのような変容を遂げているかを確かめたい。
(記憶をもとに、斎藤自身が個人的な見解を交えて執筆をしています。印象的な出来事のみ記載しているため、実際の視察内容のすべてを網羅したものではありません。正確には参議院からの報告書を参照してください)