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働くこと、生きること。

  • 2016/02/12

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今年の国会の論点の一つに「労働のあるべき姿」があります。現在の「労働」に関わる法改正の議論の現状などについてお知らせしたいと思います。

昨年の通常国会で「労働者派遣法」が改正されました。とんでもない法の改悪でした。もともと派遣労働は違法労働でした。低賃金でかつ過酷な労働が多かったため、職業安定法のもとで禁じられていたのです。この派遣労働が初めて解禁されたのが85年の「労働者派遣法」制定以降です。最初は13業務に限定しての解禁、その後96年に26業務に拡大、99年に製造業など一部業務を除くすべての仕事に拡大。2003年には製造業や医療へも拡大されました。昨年の改正は、企業が同じ職場で派遣労働者を使うことのできる期間の制限(最長3年)を事実上撤廃する内容でした。人を入れ替えるなどすれば企業が派遣労働者を使い続けることが可能になり、非正規雇用が固定化する恐れが高まったと言えます。労働者の4割が非正規雇用という現状をさらに助長するまさに改悪でした。

政府の次なる思惑は「労働基準法」の改悪です。現在は原則1日8時間労働と定め、それ以上働く場合には割増賃金を払うことが義務づけられています。実は、今の「労働基準法」でも、労働時間の規定8時間を外した雇用契約「労働裁量制」は可能で、労働時間にかかわらず賃金を一定にして残業代を払わないことが一部職種で認められています。編集者やデザイナーなどの専門業務などです。新たな法案ではどんな職種でも一定の条件の下で「残業代ゼロ」の雇用契約を結ぶことを可能とする内容が検討されています。長時間労働が恒常化し「過労死」増加につながりかねない見直しです。国政の場で何としても阻止しなければなりません。

雇用契約は労働の売買ではありません。買主が買ったものをどのように使おうが勝手というわけにはいきません。労働者はモノではなく人です。人には人らしく健康的に生きる権利があります。労働法制はこうした働く人の権利を守るためのよろいです。今、労働者を守るよろいがひとつひとつ剥がされようとしています。働くことはまさに生きることです。ワークライフバランスを軽視し、長時間労働を恒常化し、働く者の健康を阻害し、少子化の進展を助長しかねない、労働法制の改悪に断固として反対していきます。