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人工知能の可能性。

  • 2016/03/24

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人工知能研究で著名な東京大学大学院の松尾豊先生のお話を聞く機会があった。

この分野が得意でない私にとってもわかりやすい話で、とても興味深く聞かせていただいた。

それにしても、ここまで人工知能の研究が進んでいるのか、こんなスピードで進化しているのかと驚くばかり。

先般もグーグルのアルファ碁がプロ棋士を破るという報道があった。

関係者には衝撃の報道であったようだ。

すでにチェスや将棋ではコンピュータが人間を上回る成績を収めている。

しかし、囲碁については盤が広く手も桁違いに多いため、コンピュータでは計算が難しく人間が優位を保ってきた。

コンピュータが人間に勝つにはあと10年はかかると言われていたらしい。

これも人工知能の進化が早いことの現れだ。

今は第3次AIブームと言われる。今や人工知能は「データから学習する」時代。いわゆるディープラーニングだ。

人間と同じように経験に基づいて行動する機械学習。人の神経回路をまねた技術らしい。

画像や音声に認識は人間以上。

人間があることに習熟していくように、試行錯誤を重ねながら自ら上達していくようだ。

実世界では、試行錯誤によって部品の取り付けを身につけていくロボット、試行錯誤で運転がうまくなるミニカーなどもすでに開発されているらしい。

人工知能の急速な発達によって、この後、どのような社会になっていくのだろうか。

先生によれば、防犯・監視、セキュリティ、マーケティングなど行動予測や異常の検知などはまもなく実用。

2020年ころには自動運転、物流の自動化、農業の自動化、製造の効率化など。

2020年代半ばには、家事・介護などいわゆる人とのかかわりや感情労働の代替が可能になる。

2030年には、教育や秘書、ホワイトカラー支援なども可能となる知識を獲得する。

このスピード感も少しずつ早まっているという。

機械が機械的な動きしかできないと思っているのは今だけの話。機械も習熟し、ロボットも上達するようになるのだそうだ。

農業、建設、食品加工などの分野は早い段階で自動化される。さらに日常生活、生産の仕事を担う機械やロボットも実現される。

ドラえもんの翻訳こんにゃくなんていう道具も、同じような技術はすでに可能だとのこと。英語の学習ももう必要ないのか。

労働力不足、介護、災害対策、さらには原発の廃炉にいたるまで、現代の社会的課題の多くが解決されるかもしれない。

特に日本は情報面より、ものづくりの分野でのトップランナーをめざすべきだろう。

さて、このような未来、人間はいったいどうなるのか。

私の質問に対して、「便利な社会になる。人間は退化していくだろう」との先生の言葉があった。

それは近代社会ですでに起きている現象だとも。

人工知能の進展は社会を変える。このことは間違いない。

どう生かし、どう関わっていくのか。

日本の課題でもあるし、人間の課題でもある。