亡国のカジノ法成立へ。
- 2018/07/20
特定複合観光施設区域整備法案、いわゆるカジノ法案が参議院内閣委員会で強行的に採決された。
西日本の豪雨災害への対応が急務ななか、その最前線に立つべき国土交通大臣を委員会質疑にはりつけ、通常国会会期中の成立を目指した与党。
国民生活に直結するととても思えない法律制定に血眼になる理由はいったい何なのか。首をかしげたくなる。
カジノ法案の問題点をいくつか挙げよう。
本来はカジノに代表される賭博は刑法185条の規定で禁じられている。つまりは違法だ。そこでこの規定からカジノの違法性を阻却する必要がある。
ちなみに競馬などの公営競技も同様に違法性が阻却されているが、その理由は収益を公的目的に活用することだ。
今回のカジノはその収益の30パーセントが国や自治体に納付されるが、それ以外は民間事業者の儲けとなる。従来の公営競技と大きく異なり、法律によって民間事業者を
利する内容となっている。参入が予想される外資や国内企業のなかには与党議員の有力なスポンサーが名を連ねていると言われている。また、外資の中にはかのトランプ
大統領の有力な支援者が含まれているらしい。このあたりが法制定の背景として見え隠れしている。
カジノをつくる大きな理由として挙げられていたのが、外国人旅行者の誘致促進だ。委員会の質疑などでも明らかになっているが、カジノ利用者にしめる外国人の割合は
実は一部で、7割、8割の客は日本人だ。総理は「世界最高水準の入場規制を設ける」と豪語し、ギャンブル依存症対策の中心にこの規制をぶちあげた。ところが世界最高
とは到底言えない入場規制であることが国会審議で明らかになってきた。週3回、月10回までと入場に制限をかけることになっている。通常入場制限1回というカウントは、1回入場したら終わりのはずだが、この法案では24時間の間であれば、何度出入りしてもそれは1回の入場とされるのだ。つまり、夜の18時に入場して深夜24時までゲームに興じ、家に帰って、翌朝9時に再び入場、その後18時までカジノにいて退出しても、それで1回とカウントされる。言い方を変えれば週に3回とは、日をまたいでカジノに出向けば、週7日間のうち6日間滞在することも可能となる。これのどこが世界最高の制限か。あきれてしまう。
カジノ事業者が客にお金を貸すこともできる。返済が2ヶ月を過ぎると14パーセントを超える金利が課される。ギャンブルで持ち金を失った客にさらにお金を貸すことを認めるとは…。江戸時代の賭場のようだ。なぜこんな制度を設けるのか。
リゾート施設全体の何パーセントかにカジノスペースを制限することも今後定められる。通常カジノのスペースと言えば通路やレストランなども含めたゲーミングスペース全体を指すと思っていたが、どうやらこれも違うようだ。広さが制限されるいわゆるカジノスペースは、ルーレットやポーカーなどの台やスロットマシンそのものの面積を言うのであって、それ以外の通路やレストランやキャッシャーなどは含まないらしい。これでは制限などないに等しい。
このように、巨大なカジノをつくり、大勢の日本人客を入れ、持ち金以上に金をつぎ込ませることを目指した法律となっている。そこまでして事業者を儲けさせたいのだ。
この後、本会議で採決される。残念ながら数では勝てない。300以上の項目が法制定後に政省令で定められる。世論はこの法律を受け入れられるのか。国民の声を背景に国民無視、亡国のカジノ法を骨抜きにするための取り組みは続く。