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教科書にみる新しい常識

  • 2019/02/08

「こんなに変わった!小中高教科書の新常識」という本が手元にある。
私たち昭和生まれが慣れ親しんだ教科書やその内容は、現代の教科書の記されたものとは別物だ。私は元教師であるが、私が教えるために使っていた教科書ともすでに様変わりしている。そんな内容を紹介した本であるが、なかなか面白い。
「いいくにつくろう」1192年が鎌倉幕府成立の年であることは我々世代には常識だ。ところが今は違う。この年は頼朝が征夷大将軍に任命された年であって、全国的に守護や地頭を配し、実質的な支配権を得た年は1185年。こちらが現在の常識だ。
大化の改新も645年と覚えたが、この年の政変は現在は「乙巳の変」とされ、大化の改新は正式に改新の詔が出された翌646年を指すようになった。
最大の前方後円墳「仁徳天皇陵」は仁徳天皇の墓でない可能性も出てきたので今では「大仙古墳」。日本初の貨幣と言えば「和同開珎」が我々の常識だが、その後の発見で「富本銭」が今の正解だ。江戸時代にキリスト教信者を見つけるためにキリストや聖母マリアの描かれた絵を踏ませた行為、「踏絵」も今の表記は「絵踏」。文法的に正しくしたということか。
「生類憐れみの令」で悪評高い徳川綱吉。今はむしろ名君としての評価も。生類憐れみの令は何も犬だけを保護したのでなく、人の命さえも軽んじられるような殺伐とした風潮を改善しようと、高齢者や障害者などの社会的弱者も含め、支え合う社会を創ろうとしたのだとの考え方が一般的だ。
社会科を中心に述べたが、理科や算数・数学などの内容も大きく変わっている。教科書は世代によってこれほどまで違うのだ。
ちなみに、高校の音楽の教科書には卒業ソングなのだろうか、AKB48の「桜の栞」も掲載されている。これも時代の反映のひとつか。