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大学などの授業料減免と給付型奨学金制度拡充法案

  • 2019/02/21

2020年度実施予定の大学などの授業料減免と給付型奨学金拡充のための法案審議が間近だ。現段階で示されている制度の概要をお伝えする。
支援対象となるのは大学、短大、高等専門学校、専門学校に通う住民税非課税世帯とそれに準じる世帯の学生だ。来年の四月時点で在校している学生対象なので、来春の入学生も含む。もちろん在校生もだ。
授業料減免は例えば住民税非課税世帯の私立大学生の場合、入学金26万円、授業料70万円が免除される。国公立の場合は28万円と54万円だ。授業料分だけ羅列すると国公立短大39万円、私立短大62万円、国公立高等専門学校23万円、私立高専70万円、国公立専門学校17万円、私立専門学校59万円、以上が免除となる。国公立大学の授業料はゼロになるが私立大学の授業料は平均すると年額18万円ほど負担が残る。
これに追加しさらに給付型奨学金が支給される。こちらは学生生活費の補填だ。国公立の学生は年額35万円、自宅外から通う学生は80万円、私立の学生は46万円、自宅外は91万円だ。授業料減免も奨学金も、この額を基準に非課税世帯ではないが世帯年収300万円までの学生は3分の2、300万円から380万円までの学生は3分の1が支給される。
このことによって政府は、現在、大学等進学率が40パーセントほどの低所得世帯の子どもたちの進学率が倍の80パーセントほどになると想定しているがはたしてどうか。
さて、今年の夏頃から予約の手続きが始まる。高校生も大学生も基本的には本人からJASSOへの申し込みが必要だ。高校での成績はあまり影響はないようだが、大学での成績や授業への出席率などは厳しくチェックすることになっていて、修得単位が標準の5割未満や出席率が5割未満などの場合は即座に支援打ち切りの方向。成績が下位4分の1の場合や出席率が8割未満の場合は警告がなされ、連続で警告を受けるとレッドカードとなる。こうした場合には学業の継続が難しく退学を余儀なくされる学生も出てくるだろう。大学側がどの程度厳しく対応するのかは現段階ではよくわからない。
大学等もすべての学校が対象ではない。文科省からやり過ぎとも思える経営状況やガバナンス面などへの細かな条件が付されていて、対象外となる学校も出てくるだろう。
一部とはいえ実質的な高等教育の無償化に一歩前進であり、制度の方向性には賛同する。法案の方向性については法案の内容を詳しく精査吟味し、国会審議の中で費用対効果や実施上の課題を洗い出す。学生たちにとって真に意義ある制度となるように提言していくつもりだ。