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ボランティアのT君

  • 2010/04/19

 事務所にボランティアで手伝いに来てくれているT君という青年がいます。確か22才だったと思います。
 いろいろ話を聞いていると、なかなかの苦労人です。
 名古屋市内の大学に通っていた彼は、2年生の時に父親を亡くしました。そのことによる経済的な理由から、大学を中退せざるを得なくなったそうです。
 通っていたのが私立大学であり、家族の不幸により高額な学費を払うことが難しくなった以上、仕方のない選択だったのだと思います。
 しかし、経済的な理由で、学びたいのに学ぶことができない、このような若者が現実に多く存在することを看過していいのでしょうか?
 日本の教育、特に大学をはじめとする高等教育は、大変な個人負担を伴います。ある調査では、高等教育に必要な費用の約70パーセントは国ではなく個人が負担しているとの調査結果が出ています。これは諸外国に比べずば抜けて大きな数字です。そして、こうした状況が、経済力による学習環境の格差拡大の大きな要因となっているのです。
 学ぶ意欲のある子どもには、等しく学習の機会がなければなりません。そのことが未来への希望にもつながります。
 そのためにも、こうした教育にかかる個人負担を軽減していくこと、そして、給付型の奨学金制度を充実させていくことが必要だと思うのです。
 T君に、なぜボランティアに来るのか聞きました。
 「いろいろな経験がしたい。いろいろな人と触れ合って人としての勉強がしたい。」とのこと。(斉藤が彼の話を簡単にまとめると…)
 活動の合間に、公務員試験のテキストを広げて勉強するT君の姿をみて、まだまだこの国の若者も捨てたものじゃないな…なんて偉そうなことを思いました。