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これでいいのか?政権党の姿勢と社会保障の未来。

  • 2013/08/02

「『社会保障制度改革国民会議』の審議の結果等を踏まえて、医療制度、介護制度、年金制度などの社会保障制度について必要な見直しを行います。」
 
これは、先日の参議院選挙における自民党の選挙公約である。
ご存じのように自民党はこの選挙で歴史的な大勝を果たした。
この公約にある「社会保障制度改革国民会議」は昨年の自公民3党の合意に基づき、設置された会議体である。
選挙が終了して10日あまり、今月に入り国民会議は最終報告書をとりまとめ、6日にも安倍総理に提出する。
繰り返すが、選挙が終わるやいなや最終報告書がとりまとめられ、その全容が明らかになるのだ。
選挙が終わってからまとめられる結論に従って見直しを行うという選挙公約?誰が考えてもおかしな話である。
参議院選挙の最中にも、演説会等でこの問題点を訴え続けてきた。
選挙が終わるまで与党は厳しい課題には触れずに乗り切り、終わった途端にトーンが変わる。物価も上がるし、医療負担は増える。
年金は減り、介護給付は抑制される。
その争点が隠されている。だまされてはいけないと…。
やはりその通りであった。
国民会議の最終報告案の内容がまたまたすさまじい。
今手元に確定前の原稿がある。どこをどう読んでも国民の負担増と給付の削減が主な内容だ。
老人医療の自己負担は1割増、紹介状のない外来受診には定額の自己負担、15年度までには大企業の健保の負担増、介護の必要性が低い人から順次給付対象から外す、年金の支給開始年齢の引き上げも今後の課題としている。
社会保障費が伸び続けていく。
年金受給が始まる65歳以降の平均余命は、現在男性が18.7年、女性が23.7年。50年後にはそれぞれ22.3年、27.7年となる見込みだ。
この時代を現在の制度のままで乗り切ることは難しい。
持続可能な社会保障制度構築のためには痛みを伴う改革、とりわけ世代間負担の均衡をすすめていくことは必要不可欠だ。
今回の国民会議の結論をすべて否定するつもりはない。しかし、この議論には大きな問題点がふたつある。
ひとつは、今後2年間で消費税が5%上がり、その増税分は社会保障制度の充実に使われると説明してきたこととの整合だ。
増税され、充実するはずの社会保障制度の改革が負担増と給付削減ばかりでは、国民は納得しないだろう。
抜本的な年金制度改革の議論も昨送りされたままだ。
そのくせ、自民党お得意の公共事業には多額の血税を垂れ流し、財政再建への道筋が不透明なままだ。
もうひとつは、選挙公約にみられる政権与党の不誠実な姿勢である。
なぜ、選挙公約に堂々と掲げて国民の信を得ようとしないのか。
隠し、だまし、頬被りのごとき動きは非難されてしかるべきである。
秋の臨時国会で徹底的に議論しなければならない。
皆で決意を新たにしている。
それにしても多勢に無勢が口惜しい。