連合の奨学金シンポジウムに参加!
- 2017/07/25
昨日、全電通労働会館で開かれた連合本部主催の「奨学金の拡充を求めるシンポジウム」に出席。議員を代表して、通常国会における法案審議の状況などについて報告を行った。
東大の小林雅之教授の講演やシンポジウムから、奨学金事業を巡る課題が様々明らかになり、今後の国会審議に参考になる内容が多くあった。
さて、今年3月31日に日本学生支援機構法が改正され、わが国で初めて大学生向けの公的な給付型奨学金制度がスタートしたのは周知の通り。本格実施は来年度で、本年度はお試しの先行実施がされている。本年度の受給対象者は児童養護施設の出身の方など2800人。
今年の予算は約15億円である。月々4万円の給付が行われる予定だ。ちなみに本年度の申請者は5月の締め切り時点で1600人。想定していた2800人に遠く及ばない。文科省ともこの原因などについて議論しているが、貸与型奨学金の申請状況などをふまえて試算すると、800人ほどの有資格者が申請をしていない状況がわかる。給付型奨学金が受給できるのに、それには申請せず、将来返済が必要な貸与型奨学金を申し込んでいる学生が多くいる…。ゆゆしき事態だ。これが奨学金事業の実は最大の課題である。制度が複雑で、高校生や大学生たちが理解しきれない。貸与型奨学金が将来返済が必要となることすら理解していない利用者も多いのだ。高校の先生や機構の職員も周知に努めているのだが、解消にはほど遠い。周知の方策がいまいちなのと人手不足が原因だろう。ちなみに締め切りを8月に延長して申請を受け付けているとのことだ。
シンポジウムでは高校の先生の話も聞くことができた。給付型奨学金の申請人数枠は各学校ごとに割り当てがされている。まず各校に一人、それに追加して非課税世帯の貸与型奨学金利用者数の実績等に応じて数名が追加される。各学校では独自に推薦の基準を作り、与えられた人数枠の中で対象者を選定する。推薦枠の配分も現場の実態にマッチしておらず、いろいろ不公平感があるようだ。推薦基準策定についても機構から早急な提出を求められ、「できなければ来年は推薦を頼まない」などと恫喝に近いようなやりとりもあるようだ。しっかり実態を調べる必要がある。
まずは来年度、確実に2万人規模での給付ができるよう予算措置をする必要がある。学生というのは1年で卒業するわけではない。給付を受けるとよほどの理由がない限り4年間はそれが続く。来年は70億の予算が必要だが、それは1年生のみが対象。翌年度には彼らが2年生になり、あらたに1年生が増えるので予算も倍になる。単純に4年間は予算が増え続ける計算となる。これらの予算を措置する代わりに文教予算の他の部分を削るようなことがあっては意味がない。このあたりもこの夏から冬の予算編成期にかけての大きな課題だ。まずは制度の着実な運用。そして枠の拡充や円滑な実施を求めていく。最終的な目標は学費としての奨学金が必要でない状況。教育無償化を実現することだ!