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「責任をとらない症候群」と「嘘つきほど偉くなる的認識」

  • 2018/05/28

政治や行政のリーダーたちの立ち居振る舞いが国中に多大なる悪影響を及ぼしていると感じる。一言で言えば「責任をとらない症候群」の蔓延だ。さらに言うなら「嘘つきほど世渡り上手で偉くなる的認識」の深まりだ。

森友学園問題では当時の担当局長が国会で44回、財務大臣が11回も「廃棄した。残っていない」と答弁した文書が今になって山のように出てきた。人をなめたような確信的な嘘だが、国会をだまして嘘をつきまくった歴史に残るような大悪事をしでかした組織的責任の所在がわからない。組織のトップはこの期に及んで、自らの責を認め、辞職等によって任を果たす様子がまるでない。

録音データが出てきてもその真偽すらなかなか認めない。出回った文書のコピーを示されても当初は「怪文書のようなもの」と突き放すような対応をしていたが、やがて実在の文書と認めざるを得なくなる。なんとかしらを切り通せるだろうと思っていたのだろう。これも嘘の類いだ。

日大アメフト部の危険タックル問題もまさにその一例だ。当該選手が会見で監督やコーチによる指示があったことを明言しているのに、監督は「言ってない」と言い、理事長は「関係ない」と言う。実にいさぎが悪く気持ちも悪い。「教え子がそう言うのならそれは事実であり、その責任はすべて俺にある」 言った、言わないなどと言い訳する前に、教育者ならそれくらいのことを発言してほしかった。多分、後になって監督による指示が明らかになるのだろう。

ここへきて、加計問題も新たな材料が次々と出てきた。「記憶の限りでは会っていない」などと訳の分からない答弁を繰り返していた官僚が、加計関係者や愛媛県・今治市の役人との面会を記した愛媛文書が出てくると、「記憶の限り会ってないのは、愛媛や今治の役人たちにであって、加計関係者ではない」とか「愛媛や今治の役人が面会した大勢の中にいたのかどうかわからない」などと、見え透いた言い訳を平然と言い放つ。

愛媛文書に記された、総理が獣医学部の新設について「いいね」と言ったという加計理事長との面談の件も、加計関係者による県や市に対する嘘だったらしい。嘘をついた嘘つきに「あれは嘘でした」とこの件だけ唐突に認められても、それも嘘でないのかと思ってしまう。

繰り返しになるが、「責任をとらない症候群」の蔓延も「嘘つきほど偉くなる的認識」の深まりも極めて教育的でない。大人によるこれ以上の悪影響を子どもたちや若者に及ぼしてほしくない。こういう大人たちにこそ道徳教育が必要だとつくづく思う。