もんぺ姿の少女が「E＝MC²」と書かれた手箱を抱える碑が広島平和記念公園にあります。アインシュタイン博士が導いた等式が核爆弾の原拠となったことはよく知られています。あの日、広島市立高女の１・２年生541人と教師ら10人が、爆心地からわずか数百メートルのこの付近にいました。12歳から14歳の少女たちを含む全員が命を落とし、その姿も無残なものであったことが伝えられています。この悲惨さと平和への思いをつなごうとこの慰霊碑は造られました。戦後まもなくのことであり、連合軍占領下で原爆投下に対する直接的な批判が難しかった時代に造られたものと聞きます。

ロシアによるウクライナ侵攻が今も続きます。一部の指導者の判断ひとつで多くの罪のない人々が悲惨な状況に追いやられます。それが戦争です。世界中で、分断と格差の拡大が進み、過激な発言が容認される時代です。我が国も例外ではありません。元総理が非核三原則を見直す核共有論を声高に語るそんな時代だからこそ、平和な世界、核兵器のない世界を希求する私たちの存在意義があるのだと信じます。